マルマンについてAbout Maruman
デザインの決定とリング製本
1954年に現在もロングセラーである図案シリーズのデザインが決定します。1958年に図案シリーズの製品が完成します。ちなみに東京タワーと同時期に完成しました。同年、リング製本に使われるドイツ製の機械を導⼊します。以前は糊付けで製本していましたが、中⾝がバラバラになるという問題がありました。しかし、この機械の導入によりそうした問題が解消されました。以降、製本において脱落(中⾝が抜け落ちる)に関するクレームは現在に至るまで無いそうです。1973年 宮崎マルマン株式会社の⼯場建⽴に着⼿、1974年 宮崎マルマン株式会社設⽴、稼働を開始します。
クロッキー紙の
編み目ができる理由
クロッキー帳の紙でクリーム⾊をしているものがありますが、よく⾒ると、和紙の漉き⽬のようなものがあります。このクリームクロッキー紙は、実際には⼿で漉いている訳ではありません。機械で紙を⽣産する際に、紙につくもので、簀の目(すのめ)模様の⾵合いのある紙に仕上がります。紙についた模様が、デッサンする際のガイドになるため、学校での美術の授業ではもちろん、創作でのラフ描きなど、多くのデザイナー、クリエイターに⾧年使われています。昔⾵の⾵合いを再現したエンボス加⼯、それが漉き⽬の正体です。
アンチークレイドシリーズの
紙には特徴があります。
こちらはマルマンのクロッキーシリーズで、アンチークレイドと呼ばれる商品です。この商品には「ANTIQUE LAID PAPER(アンチークレイドペーパー)=古典的な簀の目入りの紙」が使用されています。普通のクロッキー紙と比べ、簀の目の出るヨコの線の間隔が詰まって本数が増え、タテの糸目の線と線の間隔が広くあけられています。素描の描き込みに耐えうるよう、紙質も硬目の仕上がりです。描いたときに鉛筆の引っ掛かりが強くなるように作られています。⾊が濃く⾒えるのは黒鉛が削れて消耗度が⾼くなるからです。⽊炭や鉛筆でヌードデッサンやクロッキーを⽇課とする⽅々に⾧く愛されています。
クロッキー帳の表紙は
なぜクラフト紙?
マルマン社の前会⾧がアメリカに渡った時のこと。某有名社のコーラの瓶がパッケージされていた箱が、クラフトで作られていたのを⾒たのがきっかけで、それから素材を探したとされます。素地の⾵合いは現在でも⼈気が⾼く、⽂具のラインアップにも採⽤されてきています。クラフトの表紙というだけでオシャレ感が増しますね。
マルマンへの旅路Road to Maruman
製品ができるまでMaking of Items
紙の断裁
⼯場⾒学に⼊ってまず真っ先に⽬にしたのは、紙の断裁機です。仕⼊れ来た紙を商品に使われるサイズにカットしていきます。
紙は量も⼤きさもあるので、すべて機械で作業しますが全⾃動というわけにはいかず、刃を使うので危険も伴います。やはりそこは⼈間の⽬で確認ながら進めていきます。
こちらは断裁された紙です。
断面がシャキッとしていて気持ち良い。
コイルについて
スケッチブック&クロッキー帳は、主にシングルコイルとダブルコイルで製本されています。昔は糊綴じが主でしたが、中⾝が脱落する問題があった為、現在ではコイルが主流です。
コイルは鉄製で⽇本と中国から仕⼊れています。仕入れた状態のままだと⼀本の鉄線なので、機械でコイル状に加⼯していきます。
コイル状に加⼯後、巻き取られます。
こちらは出来上がったコイル。
こちらは「アートスパイラル」というスケッチブックのシリーズのコイル部分ですが、⾊違いのコイルを使っているのが特徴的です。店頭で並んでても目を惹くデザインです。
こちらはクロッキー帳のコイル部分。表紙の背部分中央に折り⽬があり、リングが外に⾶び出さないようにできているんですね。この仕組みのおかげで、鞄の中で引っ掛かるということがない、素晴らしい工夫ですね。
表紙の糊付け
こちらはアートスパイラルの表紙に使わる紙です。表紙は強度がないといけないので、芯にボール紙を使い、その上から包むように貼り込みます。
こちらは表紙の接着に使われる糊を管理する機械です。貼り込むのは糊ですが、使われるのはグルー(膠)です。
膠は体質が変化するので、⾼温すぎても低温すぎてもダメ、温度管理が⼤事だということです。
表紙の箔押し
⾦⾊の帯の2019という数字が⾒えます。これは⼿帳の表紙などでよく⾒かける⾦⾊の箔押し、それに使われる箔のシールのようなものです。
なんと!昔に作られた画箋堂オリジナルスケッチブック(⾮売品)の箔押し原版を発見しました!このように全国から依頼されたオーダーの版下がたくさん保管されています。
トムソン抜き
トムソン加⼯とは、紙などを複雑な形に切り抜きたい時に、あらかじめ型を作っておいて、機械でもって打ち抜くことを指します。こちらにはダイアリーに使われる表紙の紙が積まれています。よく⾒ると真ん中には背表紙に当たる折り⽬がついています。この折り⽬も、機械で付けられています。
トムソン加⼯を施した紙を、⼈の⼿によって⼀枚ずつ切り抜き部分で抜き取っていきます。きれいに抜かれた後の端切れがたくさん。
糊付け
スケッチブックだけでなく、ルーズリーフなどの⽂具類も同じ工場内で生産されています。ルーズリーフは背の部分を糊付けして留めます。こちらは、天糊付けをする機械。
少し⾒えづらいですが、束になったルーズリーフの紙が⼀旦揃えられて、上側⾯に糊を塗るという作業工程です。この時はまだ表紙がありません。どこの部分で糊が塗られているかというと・・・
今度はこの機械を下から覗いたアングルです。⽩いローラーが左右に動いていますが、実はこれで下から糊を塗っているのです。その後、商品の表紙がセットされ、⼀緒に糊付けされて完成です。
糊付けが完了したルーズリーフが積まれていきます。きっと皆さんも⼀度は⾒たことある製品なのではないでしょうか。
ルーズリーフが出て来たので、もう⼀つ関連した⼯程をご紹介します。⼀度は⾒たことがあるかもしれませんが、タグがついているルーズリーフが⾊別に並んでいます。
印刷とミシン目
巨⼤な紙のロールがセットされているこの機械は、ノートの罫線などを印刷していくものです。企業秘密な部分があるのですべてをご紹介することはできませんが、この機械で印刷と、ミシン⽬を同時に⼊れることができます。
ミシン⽬はてっきり別の機械で打ち抜きをするものと思っていましたが、それだと加⼯費が⾼くなってしまうのだそうで、印刷と同時に⾏うことでコストを抑えています。ローラー状の原紙がそのまま流れていき印刷され、同時にミシン⽬を⼊れるというのは驚きです。それにしても巨⼤なロール原紙です。
スケッチブックのリング綴じ
様々なスケッチブックの製造に対応するため、リング綴じ作業をする機械がいくつかありました。こちらの機械では左から右へ⾃動的に流れていき、リング綴じがされている様⼦がみえます。
最後の⽅で余分なリングをカットして完成です。
こちらは別のスケッチブックのリング綴じ、図案シリーズです。ちなみに別製でサイズが特殊なブック商品も出てきます。そういう時も、ワイヤーをカットして先っちょを折り曲げることで、様々なケースにも対応できます。
オリーブシリーズのリング綴じ
お馴染みの、オリーブシリーズの表紙が⾒えます。こちらの機械では、オリーブシリーズやヴィフアールの中でも⼤きいサイズ(B3クラスの)の為のリング綴じ機です。
サイズが⼤きなものは⾃動で⾏なわず、⼿動で⾏われます。このセクションでの作業は、⾧年務めていらっしゃるベテランスタッフが担当されているそうです。
図案シリーズの糊付けと断裁
この機械はそれを加⼯するところです。⼀冊づつ加⼯するのではなく連ねてから糊付け加⼯をします。機械に通されて糊付けとテープが貼られます。